「戦国軍事史への挑戦 ~疑問だらけの戦国合戦像」 鈴木眞哉

戦国軍事史への挑戦 ~疑問だらけの戦国合戦像 (歴史新書y)

戦国軍事史への挑戦 ~疑問だらけの戦国合戦像 (歴史新書y)

近年戦国時代の軍事に関して精力的に本を出されている鈴木先生の最新作。

騎馬兵と槍兵と銃兵と弓兵の割合などの軍隊の編成はどうだったのか、そしてその兵士たちはどうやって動員されたのか、そういう当時の軍隊の根本的な部分について実はほとんどわかっていないそうです。
著者が研究を進めるうちに気付いた数々の疑問点をまとめあげ、そういう疑問点を持たずに俗説によって何となく理解していたような気になっていた我々の歴史感を問い直そうとして書かれたものだそうです。

ただ、そういった本書の目的とは別に歴史蘊蓄的な部分が面白かったです。例えば戦国末期に鎧兜のデザインがどんどん派手になっていったのは鉄砲による火薬の煙の影響で、濛々たる戦場の硝煙の中で手柄を誇示する必要があったためだとか。
西洋においても同じような傾向があり、ナポレオン戦争時代の華麗な軍服にはそういう理由があったんだなぁと納得してしまいました。